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「独立した学生服飾団体」vol.2|FDLファッションショー「斎間」学生インタビュー

arcofcol0218@gmail.com

都内に数多くある服飾系学生団体の中でも異彩を放ち、学校などに所属せず完全に独立した学生服飾団体として活動する服飾デザイン研究会(以下FDL)。そんな彼らによるSSファッションショーが8月に開催された。昨年同様、ファッションに携わる学生に焦点を当てたインタビューとして、FDLの代表を務める新井千晴さんと副代表を務める佐藤和さん、デザイナー長を務める石島光希さんに今年のFDLと今回のショーについてお話を伺った。

−団体の理念、今年の活動方針について簡単な紹介をお願いします。

新井:FDLはファッションを通じて自他と向き合うという理念をもとに活動しています。今年の活動方針については、映像や音楽、空間演出などを組み合わせることで、総合芸術としての表現をさらに追求したいと思っています。併せて、学生同士のつながりや社会とのつながりをこれまで以上に広げていきたいです。

−今回のSSファッションショーのテーマやコンセプトについて

新井:今回のテーマは「受容」や「許し」といったもので、日本の言い伝えにある百鬼夜行から着想を得ています。SNSなどが普及した現代ではどうしても整えた外側で生きることが多くなっていて、本音を見せる機会が減っているように感じます。

今回のショーは、そんな外側に隠された本音や生きづらさ、コンプレックスといった存在が列を成している姿を百鬼夜行に重ねて表現しました。

また会場の空間は、そういった自分の内面をもう一度見つめ直して受け入れるという意味での祓いの場のような空間を意識しています。

−テーマタイトル「斎間」から表現したいものとは?

新井:「斎」という字には、身を清めるという意味があるので、そこからけがれを祓う時間というような意味を持たせています。

また、理想と現実のあいだで揺れる葛藤やギャップ、本音と建前、見えているものと皮膚の下に隠されたものの「間」を象徴するニュアンスも含んでいます。

−会場の演出やこだわりについて

新井:観客を引き込む空間演出にこだわりました。

具体的には、オブジェクトによる会場の装飾、ショー冒頭の箱型スクリーンへの映像投影などで非日常な空間を演出しています。

さらに今年度は、立体音響にも挑戦しました。

また、心臓の鼓動をイメージした照明を音と連動させるなど、観客の皆様に体感していただけるようなショーを目指しました。

−学生としてファッションショーを行う意義とは?

新井:社会に出るとどうしても、自分たちの表現だけを純粋に追求するのは難しくなってしまうのかなと思ってます。

だからこそ私たちが、自分たちの手だけで自由な発想を形にして、そしてそれを社会に発信していくことにとても大きな意味を感じます。

また、学生の間にこういった経験を積むことで、社会に出たときに活かせるような生きた実践力や責任感を得ることができると思っています。

Look28 

デザイナー:佐藤和さん

−ルックの説明、インスピレーション元やこだわりをお願いします。

佐藤:今回のテーマ「斎間」のけがれとされているものが実は美しいのか、そうではないのか、みたいなことを自分に落とし込みながら制作しました。私にとっての“けがれ”とは、自分の嫌な部分――授業に行きたくないとか、コミュニケーションが苦手など、大小さまざまな闇全てを指しています。

でも最近、世に生きている女性像で、かっこいい女性像ってなんだろうっていうのを自分の中で考える機会が多くて。そういった嫌な部分を受け入れながら人には見せないように、気づかせないように振る舞っている人が私にとっては“強い女性”であり、それを表現したいと思って作りました。

でも結局、芯の部分は弱いままなので、それは違うんじゃないかと思う人もいると思うんですけど、私自身にとってはそこも肯定してあげたい部分で、今回のショーのテーマのように闇も美しいよって言ってあげるようなルックにしました。

ウィメンズルック(Look28)は、ニット・ラテックス・オーガンジーで素材の組み合わせを実験しました。ニットの穴や網目で“不完全さ”を表現し、涙や雨など憂鬱な気分から連想して、水が下に溜まっている感じをオーガンジーとラテックスで表現しました。

Look27

佐藤:メンズルック(Look27)は、ウィメンズルックとは対照的に、その“暗闇の隅っこで思い悩んでいる少年像”を描きたいと思って制作しました。

メンズルックもウィメンズルックと同じような生地は使っているんですが、形に結構こだわっていて。前から見ると普通のボトムスなんですが、横や後ろから見るとボトムスが曲がって足が突き刺さっているみたいな形で、体育座りしてうずくまる姿をそのまま形にしました。

Look1 

デザイナー:石島光希さん

−ルックの説明、インスピレーション元やこだわりをお願いします。

石島:ショーのテーマとは少しずれるかもしれませんが、自分が思う“美の価値観”を形にしたいと思って制作しました。冷たくて、自分が一番美しいと感じるものを作りたいと思い、ガラスや泡、水などの透明なものに無条件な美しさを感じました。そこから“透明の美しさ”をルックとして昇華できたらと思いました。

素材にはシリコンを使いました。シリコンは硬質でありながら柔らかさもあり、動きや反射を表現できると思い、シリコンで服作りをしてみました。身体にフィットする形で、女性のそのままのシルエットの美しさみたいなものを表現したいなと。また、透明だからこそ着ている人のそのままの美しさが現れると思い、できるだけ透明度の高いシリコンを使用し、人とルックの境界が曖昧になるようにしました。

石島:美しいものって結構形がしっかりしているものが多いのかなって思ったんですけど、“完璧なものだけが美しいわけじゃない”ということを表現したくて、あえて中にラップを敷いてそのラップのぐしゃぐしゃした形とか、シリコンの自然に垂れ落ちていく形とかのちょっと崩れたようなところをルックに落とし込みました。

また、ガラスに光が当たったときの反射のような感じにしたくて、会場の照明がこのルックに当たって反射するようにパウダーを含ませて、ガラスの質感・見え方に近いようなルックを作りました。

服飾デザイン研究会

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Written by Ikuya and Mio

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